管理人のSaiです。このカテゴリはフリーランスに関係した本の
読後感想エッセイを綴ってまいります。
今回は『フリーランス、40歳の壁』ダイヤモンド社刊です。
この本は『サルでも描けるまんが教室』の著者でも
有名な竹熊健太郎氏が書かれたものです。
ブログでも何度も書いていますが、
『フリーランス』と一言でいっても、いろいろな仕事があり、
著述業などの表現者から
弁護士、司法書士などの国家資格をもつ職業までさまざまです。
ホントに幅広いのですが、
この本は文筆業をはじめとした表現者(絵画、漫画、音楽、映画)の
フリーランスで40歳を迎えてしまった、またはこれから迎えようとする
人たちに向けて書かれています。
このブログの読者層も一部重なるかもしれません。
なかでは、フリーランスのメリットとして、
・労働時間が自分で選べる
・会社組織特有のわずらわしい人間関係がない
・学歴が関係ない(自由表現業の場合)
があげられています。
たしかに上の3つは私自身も感じますし、
締め切りを守って素晴らしい仕事(表現)をすれば
フリーとして生き残ることは可能だと思います。
学歴はまったく関係ない実力の世界なのです。
ただ、だからこそ
自由には責任がともなう
とも書かれてあります。
著者は、フリーランスに「なってしまった」。
なろうと思ってなったのではなく、
アルバイトでその業界に入りこみ、そのままフリーランスに
流されるままになってしまったと本にあります。
私自身は、かなり似たパターンですが、
「なりたくてなった」タイプなので、
若干の違和感^ ^があったのですが、
それはさておいても共感できる部分は多々ありました。
それは
・自分もデザインという分野で「表現者」であること。
が大きいのだと思います。
なかでも、漫画家・浦沢直樹氏について書かれたページが
印象に残っています。氏はNHKの番組『漫勉』でも司会を務めるなど
私の中ではとにかく「バランスのよさ」が際立つ方。
浦沢さんはまず「戦略的に」受けを狙って『YAWARA!』をヒットさせ、圧倒的な実績を築き上げることで、「描きたい作品が描ける」作家に自分を鍛え上げたと言えます。(中略)作家はつい「自分の描きたいものを描くんだ!」と思いがちですが、プロ作家として成功するためには、自分の苦手なものでも描かなければならないことがあるのです。芸術家肌の作家と、プロ作家は違います。浦沢さんは、ほんもののプロ作家だと私は思います。
引用元: フリーランス、40歳の壁 P54
これは、浦沢氏が『MONSTER』というサイコスリラー漫画を
新人の頃から実は描きたかったのだけど
まずヒット作を出し、地位を確立して、
それから描き、それをもヒットさせた経緯が書かれています。
しかし、普通は狙ってもこのように上手くいかない。そこが浦沢氏の
凄すぎるところだとも述べられています。
こういう人こそフリーランスとして最後まで生き残り、成功する人。
帯にも書かれている「ホンモノしか生き残れない」、
その「ホンモノ中の本物」なのですね。
タイトルにある40歳という壁=仕事が減っていく壁として
(著者は著述業なので)
・依頼元(出版社)の担当編集者が、年下になっていたこと。
と述べています。若い編集者は、同年代(か年下)に依頼していくのです。
そういうなかで生き残れる人は、
・特別な才能を持っていて、余人をもって代えがたい「先生」になっている人。
・キャリアがあって、出版社の偉い人とお友達である人。
(部下に◎◎さんに仕事をお願いしてくれと言えるから)
と書かれています。
出版界特有の部分もあるかもしれません。
その他、本では
とみさわ昭仁(フリーライター、ゲームデザイナー、映画評論家、古書店店主)
杉森昌武(企画編集プロデューサー)
田中圭一(漫画家)
FROGMAN(CGクリエイター、声優、監督)
都築響一(編集者)
(敬称略)
などの有名な先輩フリーランス実録も、
ページ多く割かれており、
我々フリーランスにとってはかなり中身の濃い内容となっています。
著者が文筆業(表現者)なので、その話題が多いのは
当然なのですが、どの分野のフリーランスでも共通のテーマが
この本で語られていることは間違いないです。
そして、私自身は書かれている傾向と対策をもとに
『フリーランスで生き残り続けること』
それしか考えていません。
生き残れない理由ばかり考えて、
自分に言い訳したってしょーがないですから。